お知らせ

2020-06-23 16:44:00
 私たち人間は37兆個とも言われる細胞によって作られ、それらの細胞を総動員して生きていますが、コロナウィルスなどのウィルスは1個で生活し、その大きさも1/1000㎜のそのまた1/100~1/1000というとても小さな生き物です。また、ウィルスは、大きさだけでなく様々な面でも私たち高等生物(その代表は人間です)の細胞とは違うため、細胞とは言わず“粒子”と呼んでいます。                                                                   ところで、みなさんは「複製」という言葉を知っていますね。なにかをそっくりそのまま再製することで「ピカソの絵の複製」と言ったりします。英語では「copy」で「コピー機でコピーする」のコピーです。私たちの体の細胞もウィルスの粒子も、この複製(コピー)を常に行って命を次の世代につないでいる(再生している)のですが、ここで重要なことは、細胞や粒子は各々独自の遺伝子(DNA)を持っていることです。そして、この遺伝子の出す情報に従って、全く同じ細胞や粒子が、その持っている遺伝子もろともに複製(コピー)されるのです。ですから、いつも、そしていつまでも、全く同じものがコピーされ続けていくのです。                                              このようにして自らのコピーを増やしていくという点では、私たちの体の細胞もウィルス粒子も同じなのですが、根本的に違うところは、私たちは、私たちの細胞の仕組みを利用して、言うならば自前で、細胞から細胞へと遺伝子の受け渡し、即ち、複製(コピー)をしているのですが、ウィルス粒子は、自らはそれを行わず、私たちの細胞の中に入り込んで、私たちの細胞の仕組みを利用して仲間を増やす、即ち複製、コピーを行うのです(「ウィルスに感染した」というのは正にこのことなのです)。                  先日(2020年4月3日)の朝日新聞に、日本を代表する生物学者の福岡伸一氏が、ウィルス感染にまつわるとても興味ある記事を書いてみえました。私なりにそれを要約してみますと、先ず、なぜそうやすやすと私たちの体はウィルスの侵入を許すのかということです。氏によりますと、ウィルスは元々私たち高等生物の遺伝子の一部が外部に飛び出した(家出した)ものなので、どこかを漂流していたそれらウィルスが、私たちの体の細胞にとりつくと、私たちの細胞は、あたかも家出人を迎え入れるように、優しく迎え入れてしまうという訳です。次に、そのようにして迎え入れられたウィルスが複製(コピー)を行うとき、前述のように、ウィルスは私たちの細胞の仕組みを利用してコピーしますから、その過程で私たちの細胞の遺伝子(DNA)とウィルス遺伝子(DNA)とがごちゃまぜになることがあるかもしれません。そうすると、親から子へ、子から孫へとまっすぐ伝えられるべき遺伝子に、横合いから「新しい血」ならぬ「新しい遺伝子」が入り込み、今までとは違う遺伝が起こる可能性があります。でもそれも、生命系全体として考えれば「進化」にもつながる有益な事かもしれない、というのが氏のお話であったと思います。でも、以上はあくまでも私の読み方ですので、氏の意図するところとは違っているかもしれません。是非原文をお読みください。